2009/09/28

歴史に耐え得る(ぼかすに価する)もの作り、もの選び、を大切にしたい

今、出来る大人の男の間で、白髪ぼかしが流行だ。
一般にネガティブに捉えられる要素を、ぼかすことによりポジティブに転換する。なんと繊細で前向きな方法論なのだろう。白髪頭じゃ爺さん丸出し、黒く染めては違和感ありすぎ、白髪ぼかしでチョイ悪オヤジ(*素敵な中年男性の意)ってことだ。カツラを捨てて禿げぼかし、ダイエットやめて肥満ぼかし、脱毛やめて無駄毛ぼかし、プチ整形やめて一重ぼかし、シークレットブーツを脱いで低背ぼかし、、、。素の自分を隠すのでなく、魅力的に見せる工夫を凝らすこと、それが大切だ。
身の回りのプロダクト、インテリア、建築、、、でも同様の発想が浸透するといい。古くなった、プロダクトを捨てるのでなく、インテリアを全面リフォームするのでなく、建物を壊すのでなく、少しだけ手を加えて(ぼかして)歴史を経た古いものならではの魅力を引き出す。そうありたいものだ。


2009/09/26

最高裁の大法廷は、年に2~3回しか使用されない

最高裁判所を見学した。
付近を通る度にその威圧感が気になってしょうがなかった建物に、初めて足を踏み入れた。公開コンペでゼネコンの建築士が勝ち取ったデザイン。この建築士の属すゼネコンが施工も行っている。建築費は74年当時で126億円。コンクリート製に見えた外壁は、実は重厚な御影石(花崗岩)。建築費の大半は、この石工事に費やされた。天然石を用いて自然と人との共生を表現したという。
なんて馬鹿げているのだろう!これだけの量の採石に、どれだけの自然が切り崩されたのか?運送にどれだけのエネルギーを要したのか?どれだけの排気ガスが排出されたのか?税金がこのようなバカげた装飾の為に投じられていいのか?こんな威圧的な建物の中で、人が心を開くことができるのか、平常心を保つことができるのか?
公共の建造物は、質素であってほしい。そこに無駄なお金は一円だって投じてはいけない。古い建物を修理しながら大切に使った方がいい。時代遅れのオフィスビルだって、廃校だって、構わない。その謙虚な姿勢にこそ本物の権威が宿るはずだ。表面的に権威を誇示する必要などない。

2009/09/24

全自動スタンディングバー*場当りデザイン*

有楽町のガード下にあるオープンスタイルのスタンディングバー。
サラリーマンスタイルで決めたトレンドリーダー達が集うスポットだ。ドリンク販売は、多数設置された機械により完全に自動化されている。接客サービスの排除により実現された価格設定(市販価格よりわずか数十円高いだけ)は良心的だ。好きなドリンクを購入し、ラッシュアワーを横目に最高の一杯を楽しめる。小腹が空いた方は、自販機の隙間、一歩奥まった壁にひっそりと空いた小さな窓口までどうぞ(レトロ調な裸電球が目印)、鯖の味噌缶をはじめとする清潔な量産スナック類が楽しめる。出処不明のモツ煮や焼き鳥とちがい格段に安心だ。
作意的につくられた近年流行りの立ち飲み屋には決して出せない大人の哀愁が漂う。
俗っぽい若者達には立ち入って欲しくない風景。

2009/09/19

肘掛付きスツール*偶然のデザイン*

「せっつぁば」という言葉をご存じだろうか?家族が食べる野菜を育てる為の台所に隣接した小さな畑、のことをこう呼ぶ。自分達で食べる物を自分たちで育てる場所。都会では冷蔵庫の野菜室にとって代わられた場所である。家庭菜園のような趣味的なイメージではなく、食事を作る為に本当に必要な台所や冷蔵庫の延長線上にあるものだ。新鮮で安全な季節の幸を食す為に、皆さまにもこの「せっつぁば」を持つことを推奨したい。
私のせっつぁば奥にあるブロック塀はブロックが一つ抜け落ちてしまっている。ここ、セバスチャンお気に入りの肘掛付きスツールである。うっかり居眠りをして
後ろに落ちてしまうこともある。

2009/09/17

東京のど真ん中に大きな公園があればいいな

新内閣の閣僚たちより一歩早く皇居へ。
東京のど真ん中にあるこの広大な旧徳川幕府の敷地は、今では天皇家に占拠されている。この敷地を、自然公園にでもして国民に解放したら、どれだけ国民が豊かになるだろう。国民の税金で維持管理運営されている敷地なのだから。
広大な敷地は体験
農園やピクニック場に、大きな建物達は美術館や博物館に、夏にはお濠で水浴び、なんてことになったら嬉しい。
天皇家の人々には、もう少し小さな敷地で質素にお暮らし頂けないのだろうか?お金が必要であれば、チャールズ皇太子のようにオーガニックフードビジネスでもして頂けないだろうか?国民は皆一生懸命働いて貴方達の生活を支えているのですから。
公務を務められない皇太子妃の存在する現在、天皇家によって日本国民が受けている恩恵と支払っている負担、どちらがどれだけ大きいのか再検証すべき時期ではないだろうか?

彼らに環境問題を語る資格があるのだろうか?

議員会館の前を通り過ぎ、2分ほどで首相官邸へ。
この距離を政治家達は、運転手付きの黒塗り車で乗りつけるというのだから気が知れない。何の為に、無駄なエネルギーや経費を使っているのだろうか?

*ところで、私が何故こんな物好きな野次馬じみたことをしているかの説明をしておきます。私はテレビを一切見ない、新聞も一切読まない、ことにしています。真実を見るには、自分の肌で感じ、自分の頭で考える必要があると思っているのです。

議員会館は良い香り

昨日は新内閣発足にあわせて、永田町散歩。
まずは、国会へ。参議院見物の後、国会裏手へ回ると、議員会館周辺は黒塗りの車と軽トラが渋滞を成していた。このエリアに黒塗り車は違和感が無い。だが何故、軽トラが車列を成しているのか?その真相は、すぐに私の敏感な鼻が嗅ぎつけた。これらの軽トラはすべて花屋であったのだ。荷台には高価な胡蝶蘭がギッシリと積まれていた。お祝いの(合法的)貢物だ。いくら素敵であっても安物の花なんて送ったら逆効果。胡蝶蘭以外は決していけません。
それにしても政治家には黒塗り高級車と胡蝶蘭がとても良く似合う。そんな中、長妻昭の行動に興味を引かれた。昨日、徒歩で(異例の!?)官邸入りしたというのだ。歩いてたった2-3分。この人物、「普通に正しい事」が出来るのだ。しかも今朝の初登庁時には、通例になっている花束贈呈儀式を断ったという。良い感じだ。

2009/09/15

使った楊枝は食べてしまおう

ソバ屋で爪楊枝を使おうとして袋を開けたら、一見プラスティックのような半透明の目新しいものが出てきた。パッケージを見ると、「地球にやさしいつまようじ」「でんぷん100%スマイルようじ」と書いてある。どうやら、森林伐採爪楊枝ではなく、何かのデンプン質を固めたもののようだ。
疑い半分で、咥えてみるとシットリとして口当たりがいい。歯当たりも滑らかで、歯間に滑り込むようだ。柔軟性にも富んでいて折れるような気配もない。これは気に入った。
しかし、地球にやさしいと謳いながら、何故一本づつ紙袋に入れるなどというバカげた過剰包装をしてしまったのか?
宣伝文句でしかない流行りの「エコ商法」の臭いがする。

2009/09/13

古くて汚い生ビールにはご注意

何も考えずに「とりあえず生」って人が多い。「生」って呼称故にフレッシュで旨いものと思い込み、味わいもせずに「旨い」なんて言っているバカ者達が多い。日本では生ビールと呼ばれているが、「生」の意味する根拠が分からない。実際には、ただの業務用金樽入りビールでしかない。英語では「タップビール=蛇口ビール」でしかないのだ。
私は基本的には瓶ビール党である。生ビール(金樽ビール)は、ビール会社の管理が徹底された直営店舗でしか飲まないようにしている。中途半端な店の生ビール(金樽ビール)程、不味くて不衛生なものはないからである。金樽を開けてから何日も経て古くなったビール、ろくに洗浄をしていないホースやサーバー。妙な味がしたり、鉄臭かったり。
銀座7丁目ライオンの生ビールはさすがに旨い。名人、海老原氏のいることで有名な店だ。海老原氏曰く、「旨いビールを注ぐコツは、①適正な仕入と在庫管理。②適正な条件での保存。③サーバーの徹底洗浄。④樽内の残ビール量とガス圧との適正バランス。⑤グラスの衛星管理。」だというのだから、信頼に足るのである。創業110年の歴史あるこのビアホールは、内装の雰囲気も抜群であり、私は祖父の時代から3世代で、清潔なビールを楽しませて頂いている。

2009/09/11

塩を振りすぎた枝豆は口元五ミリ辺りから飛ばして食べよう

夏も終わりに近づき、我が家の枝豆がようやく収穫期です。
枝豆のように皮ごと口に入れる野菜は、自家製ならではの安心感が特に大きい。あまりにも鮮やかな色をした冷凍枝豆にはちょっと手がでないのは私だけではないでしょう。
ところで、枝豆が大豆だということを知らぬ人が以外と多いのでは?硬い豆になる前の若い状態で食べるのが枝豆です。
この枝豆、昨今の日本ブームで海外の洒落者の間でも人気が出てきているようですが、確かに洒落度が高い食べ物だと思います。
①従来硬くなってから収穫していた豆を若取りする。②茹でた後、皮に塩を少量振りかけ、皮ごと口に入れてしまう。③皮ごと食べると思いきや、皮は食べない。④皮から豆を小気味良く飛び出させて、豆だけを口に収める。⑤口に残った適度な塩分と豆とを一緒に食す。
外国人の前では、ことさら気どって、無駄のない、手早い仕草で、美しく、枝豆を食すことをお勧めします。

2009/09/10

十三名様お帰りです

タレルの「光の館」をようやく訪れた。一度宿泊をしてみたいと思いながらも機会を逃していた場所だ。
金持ち収集家や投資家の為でなく、一般庶民の為の作品として作られ実際に使われていることを称賛したい。作品の中で、飯を喰らい、酒を飲み、糞を垂らし、垢を落とし、鼾をかくことが出来るとは、なんと素晴らしいのだろう。
美術館に物物しく鎮座し、著名であるが故に有難がられる作品とは一線を画している。作品の中で長時間を過ごし生活を営むことにより、有難き冠は取り払われ、素でその作品と接することができるのである。
このような、アートとデザインとの境界領域にある作品(愛称デザート)こそ、生きた芸術だと思うのである。

2009/09/08

庭先のトマトは傘をさす*場当りデザイン*

トマトに雨は大敵。雨に当たったトマトは割れてしまうのです。また湿気はカビや病気の原因となります。
そもそも南米の乾燥したエリアが原産地ですから、このジメジメとした日本の気候に合うはずがないのです。無理して育てる為に、日本では一般にビニールハウス栽培が行われています。交配を繰り返して、大きく甘く多産になった日本のトマトは、屋外では育たないのです
個人が家で食べるには、古くなった傘をさしてやれば十分。田舎の民家先で見かける傘をさしたトマト達は、「即興デザイン」精神(=身の回りの物を用いて、その特性を生かした新たな機能を創造すること。この手の愛すべきデザインをセバスチャンはこう呼びます。)
に溢れていてとても愛らしいのです。
クリストが長閑な田園風景に立てた黄色い傘とは大違いです。

2009/09/04

中身は大変熱くなっておりますのでご注意下さい

某ファストフード店が凄いキャンペーンを行っていた。
幼児をキャラクターで釣り、若者の味覚を破壊し、世界の風景を台無しにするこの手の店には普段決して足を向けない。しかし本日はつい足を止めてしまった。なんと巨大なカップコーヒーに首まで浸かった女性が道端で呼び込みをしているのだ。ほぼ五右衛門風呂状態。
このコーヒー、なんと無料ということなので、遠慮なく被らせて頂いた。長身のため手足が突き抜けてしまったが、上半身はなんとかすっぽりと収める事が出来た。とても温かくて、しかも軽くて、なかなか快適。さらに緩衝パットがたっぷり入っているので安全性も高そうだ。これは、寒い冬には大ヒットしてしまうかもしれない。

2009/09/03

庭園美術館の椅子も実に頭が低い

カンテサンスという現代フレンチレストランで食事をしたら、先日我が家で収穫したトウモロコシと同じ「恵味」という品種を使った料理が一品目に季節の前菜として供された。甘くて濃厚な冷スープと皮に包んで焼いたトウモロコシ小ちまき。旨いは旨いのだが、やはり採りたて生かじりには到底敵わない。前皿3品+主皿2品+後皿2品、どれも普通でなく実験的な料理であった。様々な工夫は見てとれるものの、完成の域には達していないものも多かった。
しかし、食事は味だけで完成するものではない。内装・家具・食器・空調・音・周囲の客・従業員のサービスや会話、そのすべてが食事を左右する。この店のスタッフは皆若く気どりも無く、好感度が高い。白紙のメニューから始まり、水、ワイン、調味料、食材、調理法に至るまで、実に丁寧に(やや長いものもあり)楽しく説明をしてくれる。内装や家具の気取り具合も嫌味でない程度に抑えてありOK。最後には三つ星シェフがご丁寧に出口まで見送るという徹底した姿勢には関心だ。味に対する不満なんて大したことではない、実に楽しく心地よい時間を満喫させてもらった。
帰りには庭園美術館を腹ごなしに散歩。ここの椅子達もまた実に頭が低く、皆両手をついて迎えてくれた。